「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第29号)」について質問を致しました。

北神質疑

2006年4月5日 経済産業委員会
○石田委員長 次に、北神圭朗君。

○北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 先日も当委員会で質問をさせていただいたわけでございますが、もともと産業政策とかエネルギー政策に関心もありましたが、先輩議員の圧力もこれありまして、当委員会に先週の水曜日から正式メンバーとなりましたので、よろしくお願い申し上げます。

 本日は、NEDO及びいわゆる石特ですね、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案は、京都議定書目標達成計画に基づいて国内での取り組みというものが優先される、最大限努力して、それでもなお排出削減目標に届かなければ、不足する排出削減量についてNEDOによってクレジット取得業務というものを実施するための改正だというふうに理解しております。私は、地元が京都ということでございまして、この京都で締結された議定書に基づく環境対策を実効性のあるものにぜひしていただきたい、そして私もぜひ頑張っていきたいという強い思いがございます。

 他方、この京都メカニズムなるものは、環境対策の側面からいえば決して王道とは言えない。まず、やはり王道というのは、国内での削減努力というものがあると。

 しかし、王道ではないかわりに、この京都メカニズムというものは、環境対策に限らない広がりがあるというふうに思っております。一つは、当委員会でも何度も審議に上がってきた事項でございまして、国内の企業のビジネスチャンスの拡大ということが挙げられると思います。もう一つは、先ほども大畠議員が語っておられましたが、外国に対する技術移転を通じての外交政策、外交的な側面というものもあるのだろうと。少なくとも、私は、その点について、本日強調して議論をしていきたいというふうに思います。

 運用次第では、この京都メカニズムというものも、世界で最もすぐれた環境技術、エネルギー技術を誇る日本が、その優位性を保って、あるいは優位性を生かして、諸外国との外交というものをより国益にかなったものにできるのではないか、そういった外交的な視点から、非常に大事な課題だというふうに思っております。

 今申し上げたのは、ある意味では変則的なとらえ方なのかもしれません。しかし、そういった視点も大事だというふうに私は思っておりまして、ぜひそこは、二階経済産業大臣におかれまして、今回の京都メカニズムに係る改正法律案の意義をどのようにお考えなのかというものをお聞かせ願いたいと思います。

○二階国務大臣 地球温暖化防止のために京都議定書の約束達成ということは我が国にとってはもう極めて重要なことでありますので、政府挙げて最大限努力をしてまいりたいというのが決意の第一であります。

 このため、政府として、京都議定書の発効を踏まえ、平成十七年四月、京都議定書目標達成計画を閣議で決定しておりますことは御承知のとおりであります。この計画に基づきまして、まず、先ほどお述べになりましたように、国内での取り組みに最大限努力する、私もこのことが重要だと思っております。地球の裏側で何かをやるということだけではなくて、やはり私たちとしては、国内の環境問題を他の国の模範になるようなことに仕上げていかなくてはならないと思っております。

 なお、そうした努力をしてもなお目標達成に不足するその差につきまして、議定書で既に認められておりますとおり、京都メカニズムによる対応をすることになっておることはこれまた御承知のとおりであります。

 この法律案は、京都メカニズムのもとで、政府が、温室効果ガス排出削減量等、いわゆるクレジットを取得するための制度を構築するものであります。予算としては五十四億円、そしてまた国庫債務負担行為として百二十二億円お認めを願っておりますので、これらを最大限活用しまして、より効果が上がるように努力をしてまいりたいと思いますが、あわせて、先ほど御質問の中でもお述べになりましたビジネスチャンスやあるいは海外への技術移転、そうしたことも踏まえて、日本の国際的な地位の確立に環境を通じて努力をしてまいりたい、このように思っております。

○北神委員 今、経済産業大臣から、主にCO2削減の観点から今回の法律案の意義をお聞きしました。それはもうおっしゃるとおりで、第一義的にはこれは環境対策としてとらえるべきだ、附属的にビジネスチャンスの拡大とか技術移転の部分があるというふうにおっしゃったことだと思いますが、私は、それはそれで本当に一番大事な部分で、最大限政府としても努力すべきだというふうに思います。

 しかし、一方で、先ほど申し上げたように、日本の政府があらゆる手だてを尽くして総合的な外交政策というものを実行するのであれば、その外交政策というのは当然そういうものであるべきだというふうに私は思いますが、本法律案の運用の段階において、やはりそういう外交的な見地というものも加味していくべきじゃないか、いや、むしろそういうことが可能で、そういったことをやるべきではないかというふうに思っているわけでございます。

 抽象論に聞こえるかもしれませんが、具体的に言えば、日本の環境技術、省エネ技術、こういったものをどういった国に積極的に移転するのか。そして、そうすることによって、当然そうした国と外交的な連携が深まるわけでございます。逆に言えば、積極的に移転しない国もあるかもしれない。そういった国とは疎遠になるかもしれないし、場合によっては外交的な牽制になる側面もあるというふうに思うわけでございます。私が申し上げているのは、そういう外交的な視点だということでございます。

 そうした視点から、今回の京都議定書の京都メカニズムのスキームというものは、基本的には、民間会社がそれぞれプロジェクトを見つけてきて、それをNEDOに認定していただく、そこでこのクレジットの話が進むわけですよね。

 そういった意味では、私は、もちろん法律でがんじがらめにすることは必要ないと思いますが、民間会社にプロジェクトあるいはホスト国の選別、決定をただ放任するというかお任せするのではなくて、ある程度政府の方針というものがあるべきではないかと。

 具体的には、今回のクレジット取得スキームの中で、対象となるホスト国について戦略的な色づけというものも可能であるし、すべきではないかというふうに私は思っているんですが、これを政務官の方に伺いたいと思います。

○片山大臣政務官 先ほどから我が国のエネルギー戦略についての御質問も相次いでおるわけですが、私どもも新国家エネルギー戦略というのを今策定中でございまして、先般大臣の方から経済財政諮問会議でも中間報告をいただいて、小泉総理の方からも、非常に重要な問題であるというお話をいただいておるわけです。

 そういった中でも、エネルギー戦略の中でさまざまな協力の分野が重要だと。特に、アジア、中国、インドを中心としたBRICs的な中進国になりそうな途上国であったり、あるいは一般の、我が国が従来から援助対象としてきた途上国であったり、そういったところに日本の冠たる新エネルギーや省エネルギーの技術も提供していかなければいけないし、また原子力の問題もあるということは盛り込まれております。

 今般、今回法律でお願いしております、NEDOがクレジットを取得するというこのメカニズムでございますが、やはり前回の御審議のときにも御質問にお答えしておりますが、原則公募によってプロジェクト事業者を選定するということにしておりまして、その選定に当たっては、やはり確実性と費用対効果を考えております。それはもう委員にまさに釈迦に説法でございますが、今回初めてこういったスキームをお願いして、また予算もお願いしているということでございますので、確実性と費用対効果ということをまず最優先に考えております。

 事業者の選定に当たっては、まず、その排出削減事業の成否、要するにできなかったらそこからはクレジットにカウントしてもらえない最終結果になりますので。それから財務能力とか提案された価格の問題もございますし、ここに厳正な評価をしなければいけないんですが、さらに、こういった要素に加えて、事業が行われる国の政治経済状況も十分要素に入れるということになります。ですから、政情不安定であるとかそういった問題は、そこである程度評価に入ってくることにはなると思います。

 いずれにしましても、政府といたしましては、クレジット取得の可能性をまず広げていかなければなりませんので、我が国企業の排出削減事業の実施の円滑化を含めまして、今まで以上に、おっしゃったような点も踏まえ、発展途上国との協力には主体的に取り組んでいくということになると思います。

○北神委員 今、プロジェクトの公募によって、選定基準として、当然税金が入っているから、そのコストの面というものもしっかり見ないといけない、あとホスト国の政治経済の安定度というものも見ないといけない、それは本当におっしゃるとおりであると思います。

 しかし、私が申し上げたいのは、これは極端な例ですけれども、例えば、北朝鮮というのはちょっとおかしな話かもしれませんが、北朝鮮ほど日本にとって懸念を示すような存在じゃないかもしれませんけれども、ある程度、今後、近い将来の中で、東南アジアの国あるいは発展途上国の中で、あるいは中国とかこういった国が日本と外交的に緊張関係になっていくことも当然想定できるわけでございます。

 そういったときに、ただただ純粋に環境、CO2の視点とかあるいはそのコストの面とか、そういった観点だけでは、私は、これは国の政策であるわけですから、そういった点についてはやはり国益というものを踏まえていかなければならないし、総合的な外交戦略というものが我が国に余り見えていないというふうに思いますが、やはりそういった観点からもこの京都メカニズムというものをとらえなければならないし、このプロジェクトの選定、ホスト国の選定というものも、その中に、運用の面で、運用の段階でそういった視点というものを加味していただきたいというふうに思います。

 そういった趣旨ですので、ぜひそういった視点からプロジェクトあるいはホスト国の認定というものをとらえていただきたいということでございます。

 それで、今、発展途上国という話がありましたが、そういった発展途上国は、今、残念ながら、京都議定書のスキームの中に入っていない。今申し上げた技術移転を通じた外交についても、やはり彼らがこの枠組みの中に入った方が当然この日本の優位性というものも確保できるわけですよね。向こうもある程度CO2 の削減というものも義務づけられる中で、日本に対する省エネ、エネルギーの技術というもののニーズも高まる、そういったところに日本というのは外交上のレバレッジというものが生じるわけでございます。

 そういった意味で、先ほど大畠委員からも話がありましたが、既にお隣の中国とかインドとかさらにはブラジルとか、こういった発展途上国、先ほど大臣から、都合よく使い分けて、時々発展途上国、時々先進国という話もありましたが、もう事実上巨大な工業国家として世界有数のCO2の排出国となっているわけです。こうした国が京都議定書のスキームの中に入ってもらって、我が国が今回の京都メカニズムのこの枠組みというものを、私が申し上げている視点からいえば、外交戦略的に活用することが可能になる、そしてこういった国との重要な一種交渉手段となるというふうに思うんですが、ぜひ早急に、中国とかインドとかブラジルとか、こうした発展途上国を京都議定書の枠組みの中に入れていただきたい。

 その辺の大臣の努力というか、そういったものをぜひお聞かせ願いたいというふうに思います。

○二階国務大臣 ただいまの御指摘は、先ほどの大畠議員の御質問に続いて、大変もっともなことであります。

 何分、この超大国が、面積の面におきましては、今の仰せのブラジルを加えれば大変な面積を地球上有するわけでありますが、それらの国々がこの地球温暖化問題に積極的に参画、またそれなりの役割を果たしていただけるかどうかということが地球温暖化の防止に対してどれほどの効果を及ぼすかということになるわけであります。

 先ほどお話のありましたところはもう答弁を繰り返しませんが、ブラジルからは、エタノールをぜひ日本で活用してほしいなどということを、外務大臣やあるいはエネルギー担当大臣からしばしばお話があり、近くエネルギー担当大臣も日本にお越しになります。私は、その際、バイの会談におきまして、今御質問にありましたような点につきまして、我が国の国会でもこの問題が取り上げられておる、貴国のエネルギー問題そして環境問題に対してこのような意見があるということをしっかり御紹介をして、お考えをいただくように努めてまいりたいと思います。

○北神委員 ぜひその点について強く要請したいというふうに思います。

 これは、発展途上国だけではなくて、当然、先ほどこれも大畠さんから話がありましたが、アメリカの方も一番CO2を産出している国である、しかも最初にこの枠組みの中に入っていて、聞くところによると、京都メカニズム自体が割とアメリカの、当時は民主党ですか、民主党政権が推奨していた。

 当然、私も初めて法案を読ませていただいたときに、環境対策というよりは何となくアングロサクソン的な、何でもビジネスに変えていくような、そういった発想が色濃いなというふうに思ったわけでございますが、どうも、経緯的に見ると、これはアメリカを枠組みの中に入れていくための一つの呼び水みたいなものであったというふうに聞いております。そして、そういったことをしながら、結局、京都議定書の中から逃げてしまった、経済がマイナスになるからと。

 まさに京都メカニズムというのは、その点、経済的なところも配慮しているわけですよね。国内の企業にとってもある程度ビジネスチャンスがふえていく。そういった視点というものを、私も今までの経緯というものを詳しくわからないんですが、アメリカを引き入れるためには、もう一回こういったところをもっと強調したり、実際、日本でも件数がもう既に挙がっているわけでございますし、ヨーロッパとかでもいろいろな国がもう既に実績を上げている。

 こういった側面というものを強調すべきでもあるし、さっき申し上げた発展途上国と一緒に入る。アメリカの一つの懸念というのは、発展途上国が入らないのであれば我々も入る必要ない、そういったことも言っているらしいので、ぜひ、そういった二点を踏まえて、アメリカもぜひ入っていただかなければ本来の京都議定書の目的というものは達成できないわけですから、その点についてもう一度、大臣の、あるいは政務官の決意をお聞きしたいと思います。

○片山大臣政務官 この法案の御審議に入りましてから、一連の御質問の中でその件は非常に大きく取り上げておりまして、御承知のように、昨年十二月のCOP11それからCOP/moP1におきまして将来枠組みについて一定の合意は得られたわけでございますが、それは御承知のように完全に十分なものではありません。

 条約のもとでの対話を開始するということについては、御指摘のような米国それからCO2削減により大きな貢献が期待されるような途上国も含めて参加するということについては一定の合意は得られたのですが、新しいコミットにつながる交渉を開始するものではないということになっておりますし、後は、先進国の第二約束期間の削減目標の交渉ですとか議定書全体のレビューのための準備ということについては合意が得られたのですが、結局は、先進国の第二約束期間の削減目標の交渉という部分の交渉ということ以外には開始のめどが立っていないわけでございます。

 ただ、ことしになりましてから、ブッシュ政権は、エネルギー問題についてかなり軟化というか変化を見せておりまして、GNEPのようなこともありましたし、それから、諸外国との対話また政府高官の発言等を見ましても、先ほどの御質問で核燃料サイクルの問題もありましたが、やや、クリーンエネルギーに対する大変な関心も高まっておりますし、また国際協力についても、やはり米国としても今までのとおりでいいのかというような機運が上がってきております。

 ここは、今現在はそういうコミットメントにつながる交渉ができているわけではないのですが、まずアメリカにおいては国内の目標をつくるという方向で動いていただけないのかというお話と、アジア太平洋パートナーシップというのが本年一月、シドニーで行われまして、西野副大臣が御出張されて、ここでも一定のセクターがあったわけで、これは官民セクター協力でございますが、日、米、豪、中国、インド、韓国の六カ国でございますので、こういった枠組みもうまく動かしながら、何とかそういった方向で努力したい。こういう方向につきましては、政府全体で一致しているものと考えております。

○北神委員 ぜひ、この件については、日本側に大義名分があるわけでございますから、堂々とアメリカに対して主張していただきたいというふうに思います。

 先ほども福沢諭吉の独立自尊という言葉もございましたが、これは私の個人的な考えですが、本来日本というのは、それ以前に、聖徳太子のときから隣国の隋帝国に対して対等であると。それが日本の国是だというふうに私は思っているわけでございまして、そういった意味では、決してアメリカというのは、先ほど大臣からも強く、我が国は従属国ではないと。当然のことでございます。

 私は、別にあえていわゆる自虐的な観点から言っているわけでもないし、逆に言えば、ただただ、現実を見据えずに、いや、日本とアメリカは対等なんだ、日本は主権国家なんだということを言っているのも、現実をやや冷徹に見ていなくて、ある意味では思考停止に陥っている、そういった部分もあるというふうに思っております。やはり独立の気概というものを持ち直して、こういった問題についてアメリカに対して強く申し入れるべきだというふうに思っているわけでございます。

 これは、私が今申し上げている外交的な視点でいえば、京都議定書に入る入らない、こういった部分もありますし、今回の京都メカニズムの中に、実際にどういった国を技術移転の対象とするか、そういった運用の部分についても外交的な配慮が必要なんじゃないか、そういった趣旨を申し上げた次第でございます。やや大上段にかぶったわけでございますが、ぜひ、こうした外交的な視点を政府にもあわせ持っていただきたい、そういうふうに思っているわけでございます。

 これからちょっと細かい具体論に入りたいというふうに思いますが、まずは、今回の京都メカニズムの改正法律案に関する財源論についてお聞きしたいと思います。

 今回の法律案は、NEDOが行うクレジット業務の取得に必要な事業の一部について、平成十八年度の予算に限っていえば、八億円ほどは一般会計から歳出をするということになっておりますが、大半の四十六億円については石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計、石特とこれから言いますが、石特から支出することになっております。

 まず、あえて石特を活用する趣旨というのはどういうところにあるのか、お聞きしたいと思います。

○肥塚政府参考人 京都メカニズムの活用は、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国民各界各層が最大限努力してもなお京都議定書の約束達成に不足する分についてのクレジット取得を制度化するということでございます。

 このクレジットの取得は、エネルギーの利用及び産業活動に対する制約を避け、環境及び経済の両立を目指すというものだと考えております。

 石特会計制度の趣旨は、環境配慮と経済成長の両立を可能とするエネルギー需給構造の構築を図るということでございますので、クレジットの取得は、エネルギー利用に対する制約を避けるためのもので、石特会計制度の趣旨に沿ったものであるというふうに考えております。

○北神委員 基本的に、私は、この法律案については大枠は賛成でありますが、ちょっとこの財源のとり方についてやや戸惑いを覚えているわけでございます。

 今、石特で使う趣旨の話もされたわけでございますが、御存じのように、現在、行政改革特別委員会というものが開かれて、行政改革の流れの中で最も大きな目玉として特別会計の改革というものが議論されているわけでございます。そういった状況で、今回の改正法律案では石特で財源措置を行っている。

 私も、今お話がありましたが、絶対特別会計を使っちゃだめだと言うつもりはございませんが、今いわゆる特別会計の改革というものがいろいろ議論されている。当然、経済産業省としてもそういったことに対して敏感であるはずだというふうに思いますが、そういった中で、先ほど趣旨の話もありましたが、あえて特別会計というものを活用した趣旨について、もう一遍再度お聞きしたいと思います。

○肥塚政府参考人 平成十八年度の石特会計予算におきましては、厳しい財政事情の中で、特別会計改革の推進とエネルギー政策の遂行という両面を念頭に置きまして、事業の効率化、重点化を図り、歳出も大幅に削減しております。石特会計の歳出予算につきまして言いますと、十七年度の六千四百三十二億円に対しまして五千七百八十億円と、六百五十二億円の削減を図っているわけでございます。

 今回のクレジット取得につきましては、エネルギー政策上極めて重要な政策であるということで、今申し上げましたような事業の効率化、重点化、あるいは歳出の大幅削減という中で厳しく選別した施策の一つとして歳出根拠を与えるということをお願いしている次第でございます。

○北神委員 一生懸命これまでも特別会計の歳出を削減してきたという趣旨だというふうに思います。

 あと、エネルギー対策にとって非常に重要な政策だから特別会計というものが正当化されるというお話でございますが、特別会計というのは、御存じのように、受益と負担の原則というものがなければならない。そういったところについて、この石油特別会計を活用するに当たって、今回のスキームの中でどこに受益があって、どこに負担があるのか、それをお聞きしたいと思います。

○肥塚政府参考人 先ほど申し上げましたように、京都メカニズムの活用は、国民各界各層が最大限努力してもなお約束達成に不足する差分についてのクレジット取得ということでございますので、このクレジット取得は、エネルギー利用に対する制約を避けるためというふうに考えられます。したがいまして、エネルギーの利用者がその財源を負担する石特会計に計上するということが適当だというふうに考えております。

 ちなみに、先ほど先生からもお話ございましたけれども、予算をお願いしているうち約八六%分を特別会計でお願いしておりますけれども、これは、エネルギー使用による二酸化炭素の排出状況が約八六%、それ以外の代替フロンその他の温室効果ガスが残りの一四%ということで、この比率を反映させて特別会計と一般会計に計上しているということでございます。

○北神委員 一つ私がこの特別会計を使っておられるのを見まして思ったのは、国内の省エネ対策に特別会計を使って、それによってCO2が削減される、それによってその受益というものが国内に生ずる、こういったことで今までも省エネ対策に石特を使っているというのは私も承知しているわけでございますが、今回のスキームというのは一種バーチャルな制度でありまして、外国に技術、省エネ対策というものを移転して、あるいは省エネ対策というものを実施して、外国におけるCO2の削減というものを図るわけであります。そのクレジットというものを日本で取得して、あたかも日本の目標を削減するということになっているわけでございますが、そういった点でいえば、これはちょっと考え方が違うのかもしれませんが、受益と負担という関係がやや飛躍しているんではないか、あいまいじゃないかというふうに思うんですね。

 その点についてちょっと見解をお願いしたいと思います。

○片山大臣政務官 委員は、特会、財政法の問題についても大変お詳しいので御質問をいただいているわけでございますが、まさに今回NEDOがクレジット取得を行うというこの京都メカニズムのスキームにつきましては、海外で行われる部分をカウントできるという、最後にこの京都メカニズム部分が入ったわけですね。認められるということは、いろいろな努力を総合的に行った上でどうしてもそれが目達できない場合はそちらを使っても構わないということでございまして、やはり総合的には、いろいろな努力を国内で、さまざまな努力、今までも御説明させていただきました努力を行うわけですが、今後の目標達成期間までの間におきましては、産業界のことですから変動等もあり得ますので、そういったことを踏まえて、京都メカニズムを使う分につきましては、それが効率的にかつ確実的に実施できるようにすることの方が、我が国全体のエネルギーの需給が逼迫しないという意味からも適切ではないかという判断で、そういった条約上の枠組みに合意し、今回も法律をお願いしているわけでございます。

 また、特会の改革が今回、通称行革プログラム法につきまして非常に重要な要素になっておりますが、全体の特会の数が、三十一から、二分の一から三分の一になるというのは、私の承知しております限りでは、戦後、昭和二十二年に財政法ができて以来これだけのドラスチックな改革を行ったことがない中で、私どもが所掌しております両エネルギー特会につきましても六百億円ぐらいを一般会計に貢献させていただくとともに、二〇〇七年度をめどに両特会を統合するということも考えております。特に剰余金や積立金の点検につきましては厳しく行い、また、前国会でも指摘されました広報予算等につきましては、多くのものをゼロ項目にもさせていただきました。

 また、余剰の問題につきましては、やはり備蓄の問題等のタイムラグがあるということを今までは申し上げてきたわけですが、さらにそれを厳しく、できる限りのところまで抑えさせていただいて、全体におきまして相当な減額を、具体的には歳出削減分、当省分だけで六百五十一億という前例のないものですが、させていただいた上で、新エネ、省エネ対策と並んで、今回の環境と経済の両立という意味からでのエネルギー確保、エネルギー逼迫にならないような責任あるエネルギー政策の中で、この計上はやはり必要欠くべからざる重要なもの、取捨選択を重ねて、選択と集中をした上でも重要なものということでお願いをしているわけでございます。

○北神委員 私が今申し上げた受益と負担のところについてちょっと政務官は触れられなかったんですけれども、要はこれ、国内の省エネ対策だったら私はわかるんですよ。要は、エネルギー利用者にとって、日本の環境がよくなる、空気がきれいになる、そういった受益があると。

 でも、これは外国に対して削減を求めるものであって、あるいは促進するものであって、外国の受益にはなるかもしれないけれども日本の受益にはならないというふうに考えているわけですけれども、これはどういうふうに整理されているのかお聞きしたいと思います。

○肥塚政府参考人 いわゆる石特会計におきましては、例えば石油資源の開発でございますとかいうことで、エネルギーの開発あるいは導入といったようなものにも使われておりますけれども、今先生のお話の省エネルギーは、エネルギーの利用を全体として効率化させる、あるいは減少させるということを通じてエネルギーの制約を避けていくという効果なんだろうと思います。

 したがいまして、省エネルギーについても、エネルギーの利用者が負担している。そういう意味でいいますと、海外でクレジットを取得するということも、国内におけるエネルギー利用に対する制約を避けるという意味では同じだというふうに考えておりまして、したがって、エネルギーの利用者がその財源を負担する石特会計でお願いしているというふうに考えております。

○北神委員 つまり、その事業者にとって便益があるということですね、エネルギー制約がなくなるということで。

 今いろいろ御説明を聞きましたが、特別会計についてちょっと、百歩までいかないかもしれないけれども、十歩ぐらい譲って、これはふさわしい、あるいは特別会計を使う十分な条件がそろっているということかもしれませんが、私が申し上げたいのは、消極的な理由としてはそういったことも、特別会計を使っても問題ないということは言えるかもしれません。しかし今、特別会計の改革の議論の流れの中で、逆に言えば、一般会計を使ったらだめだということもないと思うんですよね、実際に今回も一般会計も一部使っているわけでございますし。

 そういったことからいえば、今回の法律案についてどうこう申し上げるつもりはないですが、これまた来年度も予算措置というものもあると思います。そういったときにぜひこういった論点も踏まえて議論をしていただきたいなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

○肥塚政府参考人 私どもとしましては、石特会計の制度、趣旨自身が環境配慮と経済成長の両立を可能とするような、省エネルギーを含めましてですけれども、エネルギー需給構造の構築を図るということが特会制度の趣旨だというふうに考えておりますので、クレジットの取得も、そういう意味では特別会計の趣旨に沿ったものではないかというふうに考えています。

○北神委員 しつこいようでございますが、石油特別会計も剰余金がたくさん生じている。先ほど削減をされてきたという話もありましたが、去年の、ちょっとファクスの上の方が切れていて正確にはあれなんですけれども、平成十七年十一月の財政制度等審議会においても、確かに、石油特別会計において、「一般会計からの繰入れを縮減している。」そして、「この結果剰余金は縮減しているが、なお高い水準にある。」というふうにも指摘されているわけですよね。

 だから、要らぬ誤解というか、そういったことを避けるためにも、一般会計で措置するというのも非常に賢明な判断かなというふうに思うんですが、もう質問の時間もあれなので、それについてぜひ議論いただきたいということを要請申し上げまして、本日は、外交的な視点、そして財源論について質問をさせていただきましたが、そういった点についてまた今後も検討いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

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