衆議院経済産業委員会で甘利経産大臣、竹島公取委員長に質問しました。
甘利経産大臣に対しては、経済成長戦略に関連して、研究開発等に対する予算の重点配分の必要性、個人消費の活性化の必要性などを訴えました。竹島公取委員長に対しては、中小零細企業対策として、公正な市場環境を作る観点から、不当廉売・優越的地位の濫用への対策強化について問い質すとともに、公正取引委員会の機能強化を求めました。

北神質疑
2007年02月21日 経済産業委員会
○上田委員長 次に、北神圭朗君。

○北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 大臣、大分時間も遅くなりましたが、またひとつよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは、経済成長戦略、二つ目にはエネルギー外交、三つ目には公正取引委員会関係の優越的地位とか不当廉売について御質問したいというふうに思います。何せ八番バッターなので、もう大分論点も出てまいりましたので、重複するところもあるかと思いますが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。

 今度、経済成長戦略に基づいて、経済成長戦略大綱関連三法案というのが閣議決定をされたということであります。これは、安倍政権が成長力の強化に努めていく、経済成長というものを一つの大きな政権の柱にしていくということでありますが、私自身ももう前々から、小泉政権のときから、この方向性については大賛成であるわけであります。

 というのも、小泉政権の四年、五年間の間、どちらかというと、財政再建の方に力点を置いてきた。その手段としては歳出削減とか増税、これは余り言われていなかったけれども、実際は増税をしてきた、さらには民営化とか、そういった政策が前面に出てきたということであるわけであります。

 しかしながら、私も昔、財務省におったわけでありますが、財政再建というのは、やはり歳出を削るとか増税だけでは到底果たすことができない。これは、内閣府の調査でも、アメリカの八〇年代の財政再建の要因分析というものがおととしぐらいに出たと思いますが、それを見ても、ある程度歳出削減もあるし増税もあるんですが、やはり経済成長による自然増収の要因というのが非常に大きい。こういったところを無視して、ただただ歳出を減らしたり増税をしたりでは、財政再建もままならないし、そもそも何のために政治をやっているのかというのがよくわからないということであるので、私は、安倍政権になってから、経済成長戦略というものには非常に期待をしていたわけであります。

 そういうこともあって、今回の関連の三法案について、正直、非常に期待をしていたわけでありまして、簡単に言えば、アメリカでいえば、レーガン時代のヤング・レポートとか三年前のパルミザーノ・レポートとか、そういったアメリカの成長戦略に基づく政策、それに匹敵するものをすごく期待していたわけであります。

 ところが、この前、経済産業省の事務方から説明を受けたんですが、財政的な規模も中身もかなり見劣りせざるを得ないというふうに私は思ったわけであります。規模については、経済成長戦略要望に予算の重点配分をされたというふうに言われておりますが、現在審議中の平成十九年度の予算案を見ると、三千億円超にとどまっている。また、大企業と比べてまだまだ足腰の弱い中小零細企業、これは日本経済の根幹であるわけでありますが、この中小企業対策についても、費用が予算の中で千六百二十五億円と、昨年からわずか九億円ふえたにすぎない。ここ十年、二十年ぐらいを見ていると、大して伸びていないわけですね。

 中身についても、これも私、なかなか判断が難しいですし、皆さんもあからさまには言えないと思いますが、どうも昔見たような対策が衣がえをされたり、あるいは多少条件をつけられたりして、つけかえみたいな形でまた改めて束ねられているという印象を持たざるを得ないということであります。簡単に申し上げると、まだ政策の中身に入る以前の問題として、安倍政権の成長戦略あるいは甘利経済産業大臣の経済成長に対する意気込みというものがなかなか予算に明確にあらわれてこないというふうに言わざるを得ない。

 私も、単に予算をばんばんつければいいというふうに思うわけではないんですが、もし日本の今皆さんが考えておられる経済成長戦略というものが、アメリカとか先進国の潮流の中で出てきているようなものと大体似たようなものであるならば、基本的にその成長戦略というのは、補助金とかそういったものよりは、研究開発あるいは人材育成、教育、こういったところに力点を置くことだと思うんですね。それらは簡単に言えば将来に対する投資みたいなものであって、もちろん、その中身とかいろいろ制度整備、どういう条件をつけていくのか、こういうことも大事だと思いますが、投資ですから、やはり金額というものが極めて重要な部分を占めるというふうに私は思います。

 質問としては、ですから、基本的にイノベーションというふうに言うのであれば、今回の中身を見ると、従来型の補助金的なものとか見受けられて、もちろんそれだけではなくて、いろいろ知的財産権の項目とか入っておりますが、やはりもう少し明確に、研究開発、人材育成というものに重点化して、大幅に増額をする必要があるというふうに思うんですが、この辺の、私が今るる申し上げた考え方あるいは見方、これについて経済産業大臣の基本的なお考えを伺いたいと思います。

○甘利国務大臣 成長なくして日本の未来なしというのが安倍内閣のスローガン。この成長を確保していくために、税と予算と法律を駆使する。

 税につきましては、減価償却税制、これは四十年ぶりに抜本的に見直しました、一〇〇%償却。それから、競争の激しい部分については、法定耐用年数そのものを短縮して競争力をつけていく。設備が最新のものに入れかわる、サイクルを早くしたわけですね。

 予算でいいますと、確かに三千億の枠です。しかも、これは三千億を外枠で出したというんじゃなくて、質を変えたのを優先的に織り込んでいくというやり方です。ですから、ボリュームとしてはもうちょっとあっていいなというのが率直な私の思いでありますし、またその旨も主張しました。ただ、財政再建という縛りがかかっている中で、どうやってイノベーションを加速していくか。だから、予算をふやすというんじゃなくて、予算の質を変えるという作業をやったわけですね。三千億、その質が変わった要求については最初からつけていって、上げますよというやり方でやったわけであります。それとあわせて、法律、我が省でいえば、中小企業地域振興三法案を出したわけであります。

 私は、経済財政諮問会議でもたびたび主張していることでありますが、この三千億は、プラン・ドゥー・チェック・アクションというか、見直しを常時かけていく。政策効果の見直し、それから新しい玉出しとか、常時見直しのサイクルを組み込んでいくべきだ。これは新年度予算でありますけれども、その次の予算もこういう枠をできれば拡大して設けるべきではないかという主張も、諮問会議を含めてあちこちでしているところであります。

○北神委員 ありがとうございました。

 本当に率直な御意見を伺えてよかったと思います。

 というのは、実際、大臣も多少やはりまだまだ足りない部分があるという御意見だというふうに思います。足りないといっても、比較の対象というものがないとなかなかわからないんですが、私も経済産業省が出している資料で見ますと、アメリカは、さっき申し上げたパルミザーノ・レポートに基づいて、去年の一月三十一日にブッシュ大統領が一般教書演説において米国競争力イニシアチブというものを発表された。その中身を見ますと、ナノテクなどの重要な研究に対する連邦政府の財政措置を倍増する、あるいは研究開発減税の恒久化、これは大臣も以前取り組まれたという話ですが、今度アメリカの方では恒久化をするということであります。三本柱で、あともう一つは学校教育、生涯教育ですね。生涯教育というのは、アメリカの文脈の中で職業教育というものにすごい力点を置いているみたいですが、そういった教育改革というものも入れている。

 そして、財政規模を見ますと、二〇〇七年以降、今後十年間で千三百六十億ドル、これは、日本円に直すと何と約十五兆円あるわけであります。アメリカの経済規模と日本の経済規模の違いとか、それはもちろんいろいろあると思いますが、しかも、アメリカは十年間にわたってずっと継続的にやっていく。日本の方は単年度ぽっきりで、単純に三千億で比較をすれば、約五十分の一になってしまうという計算になると思います。だから、気合いの入れ方が違うんじゃないかというふうに思っております。

 ただ、今大臣が言われた、経済財政諮問会議において、プラン・ドゥー・チェック・アクション、そういった提言をされている。これは、私もぜひそれをきっかけに、今後、これは単年度の話だけではなくて、十年、二十年ぐらいのスパンで徐々に改善をしていきながら、できれば、やはり研究開発とか教育の投資というのは財政規模が最後は物を言うというふうに思いますので、そこら辺をぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 これは、ほかの政策についても私も安倍政権になってから本当に気づいて、よく目にしてきているんですが、皆さん、やはり財政再建の制約の中でやらないといけないと。今も大臣もそういうふうに言われましたし、去年の教育基本法の改正のときも、教育改革は最重要課題だと。

 御存じのように、日本の教育費というのは、OECDの先進国の中でも、GDP比では非常に少ない。お金が全部じゃないけれども、やはりそういうところに力を入れるという意味では、ぜひそこは予算で力を入れてほしいというふうに伊吹大臣に申し上げたら、彼も、やはり財政の制約がある、なかなかできないと。特に、教育については、去年、いわゆる骨太二〇〇六の中で、もう既に小泉政権の中で枠をはめられちゃっているんですよね。これまで以上の削減をするということがもう閣議決定をされてしまっている。

 そういった意味で、安倍総理が去年、所信表明演説の中で、成長なくして財政再建なし。大臣は何かきょうは成長なくして日本の未来なしというふうにおっしゃっていますが、もともとは成長なくして財政再建なし。これは物すごい明確なメッセージで、私が冒頭申し上げた考え方にも共通するものがあるんですが、極端に言えば、赤字覚悟ででもやはり経済成長に投資をするんだ、最初は赤字かもしれないけれども、いずれその投資のリターンというものがより多く入ってくるというのがそのフレーズの意義だというふうに思うんですね。

 ですから、そこは多分、大臣は当然理解されているというふうに思いますし、安倍総理も理解されていると思いますが、やはり財務省の呪縛から、あるいは小泉政治の呪縛から脱却しないと、なかなか経済成長というのは図れないというふうに思うんですよ。私も財務省にいたら怒られますけれども、はっきり言って、財務省にいながら私なんかもそう思っていたわけであります。ですから、そういった姿勢でぜひとも政権の中で頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、今回の経済成長関連三法案について申し上げたいのは、予算の規模、具体的な政策の中身だけではなくて、戦略の方向性であるわけであります。

 つまり、午前中、近藤さんとの話で、イノベーションとオープンというものが二つの柱だと。イノベーションというのもそうですし、オープンもそうですけれども、基本的には、簡単に言えば、企業の生産性向上と、国内だけじゃなくて海外にも需要を求めるという意味合いだというふうに思います。

 これについては、アメリカの置かれている経済環境と日本の置かれている経済環境というのはおのずと違う。アメリカの方はそんなに、景気が悪くてもみんな消費をするような国ですから、消費はある程度ずっと堅調なわけですね。日本の場合は、さっきからもうずっと議論があるように、やはり消費が非常に弱い。大臣御自身も、この前、十六日の所信表明で、消費に弱さが見られる、企業部門の好調さが家計部門に波及することによって、バランスのよい景気回復が実現されることが必要だというふうに述べておられるわけであります。

 私もそのとおりで、持続的な経済成長というのはやはり設備投資、輸出だけではとてもとても確保することができないというふうに思っておりまして、政策的に申し上げれば、企業の生産性向上だけではなくて、それだけやるんだったらやはり成長戦略としては不十分だというふうに言わざるを得ない。

 私たち民主党は、今国会で格差問題とかいろいろ議論をしておりますが、個々の家計とか個人の生活の安定とか安心とか、そういったものも大事ですし、あるいは国民、国家として、余り格差が広がって、不公平感が広がるというのも非常に問題だというふうに思いますが、それだけではなくて、まさに、ここで議論している経済成長の観点からいっても、経済格差というのは非常に足かせになるんじゃないかというふうに思います。

 そういった中で、御手洗経団連会長とかあるいは一部の識者の中では、今グローバル化で、インドとか中国とか、三十億人もの低賃金労働者と競争しないといけない、そういった意味では、当然、企業が国際競争力を確保するためには、人件費を極力抑えないといけない、そういう論調があるというふうに思いますし、私もそれは決して軽視すべきではないと。確かに、グローバル経済の中でそういった傾向がある。当然、そういうリーディング産業の足を引っ張るようなことはできるだけしてはならないというふうに思いますが、これも、先ほどからもお話が出ているように、ただ、その理屈が本当に今に当てはまるかといいますと、今回の景気回復の局面を見ると、決してその理屈は当たらないというふうに思うんですね。

 というのは、もう五年間、企業収益というものはずっと回復をしてきている。これは、私が提出した資料の一枚目にありますが、既に皆さんいろいろな形で、もっとわかりやすい形で資料として出されておりますが、財務省の発表している法人企業統計ですね。もう大体景気が回復されたと言われる平成十三年ぐらいから数字を出してあるんですが、企業収益が回復をしていると。

 内部留保の方を見ますと、マイナスから、平成十七年に至っては約九兆円ぐらい蓄積をしている。そういった中で、役員賞与の方は、平成十三年五千六百五十億円から、平成十七年には一兆五千二百二十五億円と、約三倍になっております。株主の配当も、平成十三年四兆四千九百五十六億円から、平成十七年には十二兆五千二百八十六億円、これも約三倍ぐらいになっておる。それぞれ、配当もあるいは役員賞与も三倍ぐらいふえている。ところが、人件費は、平成十三年の百九十二兆八千六百七億円から、平成十七年百九十六兆八千四百七十五億円と、ほとんどふえていない。

 だから、これは決して競争力に困って、なかなか商売もうまくいっていないから、収益がふえていないから、賃金に回せないとか、そういった話ではないというふうに思うんです。

 実際、この五年間で、幾らタイムラグがあるといっても、さっきも、川端先生の資料にもありましたが、八〇年代あるいはイザナギ景気のときに比べたら、明らかに労働分配率というものが上がってきていない。これだけでは、こういった状況では、なかなか大臣がおっしゃるように、消費が弱い状況というのは改善をしないんじゃないかというふうに思います。

 そこで、お聞きしたいのは、経済産業省も、名前のごとく、経済と産業、両方に目配りをする、設置法上もそういった役割になっておりますので、本当は今回の経済成長戦略の中で、企業の生産性向上だけではなくて、消費重視の政策というものを盛り込む必要があったというふうに思うんですが、それについて、見解と今後の取り組みについて伺いたいというふうに思います。

○甘利国務大臣 先生が御提出をされた資料で、平成十三年から十七年までの間のそれぞれの数字の伸び率を拝見させていただきますと、確かに人件費の比率が他に比べて極めて鈍化した伸びしか示していない。

 配当金の方は、役員賞与とは違った要素もあるのかもしれません。それは、MアンドAがかなり頻繁になってきた中で、実力に見合った株価になっていない、防衛策の一つとして株価を上げていくということ等もあって配当をふやしていく企業行動が反映したという点もあるのではないかと思っております。

 御指摘のとおり、消費がGDPの大宗を占めるわけでありますから、ここに力強い拡大感がないと本格的に景気が拡大局面に入ったというふうなことは言えないと思うし、企業の経営判断もそこのところを見ていると思うんです。

 そこで、もちろん、経営者側の言い分というのは、これから労働力がどんどん不足していって、タイトになってくれば、当然、買い手市場から売り手市場になっていく、いい条件を出さないと人が集まらなくなるしということになっていくんだという話が一方であります。それも事実だと思います。

 ただ、私は、余裕がない会社に賃金を上げろとは言えないですけれども、余裕があるところはできるだけ上げていって、企業から家計に所得が移転をしていくということを通じて、消費が拡大をされるし、世の中の消費マインドといいますか雰囲気がよくなるはずだ。そういうことを通じて、早く好循環、企業収益と消費の拡大のいい循環をつくり上げた方がいいんじゃないですかということを申し上げているわけでありまして、これは経団連の役員総会のときに総理御自身からも発せられた言葉でもあります。

○北神委員 今回の成長戦略にはなかなかそれが見えてこないということを指摘したいのと、今後の取り組みについては、最低賃金の話とか、あともう一つ申し上げたいのは、やはり労働法制の中で、大臣と川端先生の話でありましたが、もともとの趣旨が大分違ってきて、はっきり言えば経営者の方に乱用されちゃっている。だから、やはりそういったところをちょっと見直していく必要もあるんじゃないか。しかも、労働監督局も、非常に人員が少ない中で、多分そういったところにも目がなかなか行き届いていない。そういった部分もやっていかないといけないというふうに思います。

 とにかく、時々、私も直接経団連の会長とお話ししたこともないですし、あれですけれども、やはり、どうやら八〇年代からのアメリカの何か資本主義というか市場原理の考え方というものが、相当、またかなり極端になってしまっていて、労働と商品というものを同一視しちゃっている部分がある。これは確かに、経営者の立場からただただ利益を上げるというものが目的であるならば、そういった視点に自然となってしまうおそれもあるというふうに思うんです。

 これはちょっと通告していなかった質問なんですが、これに関連をして、こういった風潮が一部見られる、そういった中で、この前、十五日の参議院の厚生労働委員会ですか、柳澤大臣が、労働者は時間が売り物だという発言をされているんですね。そして、これは、日本版ホワイトカラーエグゼンプションの制度の意義を説明する際に、柳澤大臣から、工場労働というか、ベルトコンベヤーの仕事、もう労働時間だけが売り物ですというような、そういうところでなく働いている方々の現実に着目した労働法制をつくることが課題だというような発言をされたんですが、これも別に私も足を引っ張るつもりはないんですが、やはりこういう考え方が非常にはびこってきている嫌いがある、そういうことについて、いわゆる労働者というか労働力に対する認識とか評価に、その言葉どおり受けると、極めて問題があるというふうに思うんですが、その点について、大臣のお考えを聞きたいと思います。

○甘利国務大臣 柳澤大臣は基本的に極めて頭のいい人で、政策にも明るいので、ただ、時々、自分の言いたいことをわかりやすく強調する余り違った理解をされてしまうという点があるんだと思います。

 恐らく彼が言いたかったのは、内容を見ていませんからわかりませんが、工場のラインに入っている労働者で自分の創意工夫で付加価値を生み出して自分の評価につなげることができない、つまり、その作業に加わっている労働者の評価というのは得てして時間ではかられてしまうというみたいなことを言いたかったんじゃないでしょうか。

 つまり、自分の創意工夫を生かしていろいろなことができる仕事の部分と、定格化された作業を強いられる部分との働き方の差をわかりやすく言おうとして、わかりにくくなったんじゃないんでしょうか。

○北神委員 ホワイトカラーエグゼンプションの話ですから、知識・知能労働者と、肉体労働者というんですか、それとを分けるときにそういう表現を使ったというふうに思うんですが、実際、さっきから申し上げている成長戦略の中でも教育というものが非常に大事だというのは、まさに、高度化、いわゆる知識経済になってきている、競争力もどんどん激しくなっている。本当はそういったことを言うんじゃなくて、むしろそういった人たちをどうやって引き上げて、この競争経済の中で十分力を発揮できるようにしていくような、そういった姿勢が大事だというふうに思うんです。

 もう一点だけ、申しわけないんですけれども、柳澤大臣も産む機械だとか装置だとか、そういった発言もされて、こういうのがどんどん続いてきている。毎回謝っておられるんですが、こんなに何回も続いていると、どうもちょっと、さっき言われたように表現力が下手なのかどうかわかりませんが、何か非常に、根本的にちょっと適当じゃないというところがあるんじゃないかというふうに思うんですが、その辺、大臣のお考えはどうでしょうか。

○甘利国務大臣 私が知る限り柳澤大臣というのは極めて人格者で、女性に対しても、もちろん男性に対しても、労働者に対しても極めて敬意を払う人だと私は思うんですが、このところ何か、ちょっとどうしちゃったのかなという、何か歯車のかみ合わせがちょっとうまくいっていなくて、御本人も歯がゆい思いをされて、自分の真意が、どうも出る言葉は違う言葉が出ちゃって、悩んでいらっしゃるんじゃないかというふうに思うんですが。

 従来から申し上げますように、日本の企業の強みというのは、みんなの力を結集する、いい改善提案を共有する、恐らく、よそにそんなにないと思うんですね。こうやったらうまくいったと発見した自分のノウハウだから、そんなものを人にただでやってたまるかという気持ちが働くはずですけれども、日本の労働者は、こうやったらうまくいくよ、あなたもこうやったらということを言う、これが力だと思うんですね。

 だから、ライン方式からセル方式の方が生産性が上がったというのは、みんなでいいことを共有しようよという総合力を最も発揮できる労働形態だから、生産性がより上がったということになるんだと思いますし、そこはやはり、日本の経営者はそういう働き手との、そういう、機械でも装置でもない、人間だというところの強みを理解しているから、日本の企業は強かったんだと思います。(発言する者あり)

○北神委員 ありがとうございます。労働大臣兼務という話もありますが、ぜひそういった考えを経済産業行政の方に反映していただきたいというふうに思います。

 消費の部分についてこの五年間の回復を見ていると、消費が一応伸びていることは伸びている、でも、五%台で伸びている。それで、輸出とか設備投資は二けた台で伸びている。そういった意味では、非常に差があるし、でも消費は実際に伸びているじゃないかという方もおられますが、それは実際は、貯蓄を取り崩して消費に回しているという分が多いんですね。貯蓄がゼロの方というのは二十年前ぐらいはほとんどおられなかったんですが、今はもう二四%ぐらいにふえている。それは、ほとんどその貯蓄を、多分高齢者が多いと思うんですが、そういった方が取り崩して消費に回している。

 消費は、例えばウナギばかりを食べていて、だんだん所得が減ってきたが、ほっか弁の弁当になかなか切りかえることができない、自分の今までの生活水準を維持したいという意味で、どちらかというと、貯蓄を崩してでもその消費水準というものを維持したいという部分が働くと思いますので、消費がプラスだからといって安心することは非常に危険だ。今後、どんどん貯蓄を崩していって、この低金利の中で、利子所得も得られない、そういった中で、やはり先行きというのはこのままでは非常に不安定なことになってしまうということを申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと、私もしゃべり過ぎて時間が、ほとんど質問できなかったんですが、あと二点ぐらい質問したいのですが、ちょっと公正取引委員会の方に質問したいというふうに思います。

 それは、先ほども中小企業対策の話も申し上げてまいりましたが、今回も生産性の向上という話が法案の中に入っております。しかし、これも質問できなかったんですが、サービス産業の生産性向上というのはなかなか、IT化ぐらいは思いつくんですが、サービス産業でどうやって生産性を向上するのかというのは非常に難しい問題だというふうに思いますし、ほかの部分を見ると割と旧来型の補助金みたいな部分があると思いますので、この委員会でもいろいろな議論もありましたが、私は前から思うのは、今一番求められている中小企業対策というのは、補助金とか減税とかそういったものではなくて、やはり大企業との関係で公正な競争というものをいかに確保するかということだと思います。これは地元へ戻っても、中小企業の社長さんから、やはりどうしてもそのところで自分たちは非常に苦しい目に遭っていると。

 そこで、先ほども話が出ましたが、公正取引委員長、竹島委員長の方から、不当廉売、優越的地位の濫用等についてお尋ねしたいというふうに思います。

 これは、私の出した資料にも載っておりますが、三枚目だと思いますが、日経新聞に記事が出まして、公正取引委員会が、不当廉売、優越的地位の濫用について課徴金を科すべきだ、そういった方向で主張をされていると。それに対しまして経団連が、そんなことはだめだという記事が載っております。よく新聞にはガセネタみたいのも出ますので、これが本当かどうかわかりませんので、これが本当に根拠がある記事かどうかというのを竹島委員長に伺いたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 今御指摘のこの記事の部分ですが、正確には、公正取引委員会が不当廉売や優越的地位の濫用について課徴金の対象にしたいと、積極的にといいますか、そういう主張をしているというのではございません。

 これはまさに、この十七年の独禁法の改正のときに、衆議院、参議院両方において、優越的地位の濫用と不当廉売について、ただやめろという排除措置命令だけじゃ不十分だ、課徴金の対象にすべきであるという御議論が国会の方でございまして、それが附帯決議にも盛られている、そういうことを受けて、私どもとしては、それは宿題であるというふうに認識をさせていただいております。

 当時も申し上げましたが、これは法律的に非常に難しい。端的に申し上げますと、カルテルや談合のようなものは課徴金の対象にすべきである、当然違法で情状酌量の余地もなしということになっているわけですが、この不当廉売とか優越的地位の濫用というのは不公正な取引方法というものでございまして、競争を制限するというのじゃなくて、公正な競争を阻害するおそれがある、よってやめなさいというグループなものですから、おそれぐらいで課徴金だ、罰金だということになるのか、平たく申し上げますと、そういう問題がございます。

 したがって、同じ独禁法の違反行為でも、カルテル、談合の場合とは内容、性格が異なる一つのグループである、それにどういうペナルティーを科すのが妥当なのか、こういう問題なものですから、そう単純な話ではない。

 そこで、内閣府の基本問題懇談会で、学者先生も入っていただいて、今どういう形があるべき姿かということを議論しておられる。六月か七月には御提案が出てくると思いますので、そういうことも踏まえて我々としては勉強していきたい、こういうことでございます。

○北神委員 ぜひ、私の立場からしたら、やはり前向きにそれは検討していただきたいというふうに思います。

 特に、おっしゃるように、法律上、刑事の犯罪構成要件ですか、これはなかなか難しい。ただ、日本の法律の場合は何々のおそれがあるというところが多分問題になると思うので、諸外国の法律を見るとおそれというものはない。だから、場合によってはそこを改正して課徴金を科すことにするということも考えられると思います。ただ、いずれにせよ、実際にちゃんと取り締まれる方法が一番いいというふうに思います。

 最後にお聞きしたいのは、この法律を改正するにせよしないにせよ、この問題について竹島委員長も、十六日のこの委員会で、厳正に、迅速に処分をしているというお話もされましたが、私の地元で、いわゆる酒屋さん、小さな酒屋さんで非常に困っていると。なぜなら、割と大手の酒屋さんが来て、車で一時間ぐらいかかるところに、ビール半額だ、あるいはウイスキー半額だ、そういったビラをまいて、みんなそっちに行っちゃう、自分たちはそういったことに対応できない、これは不当廉売じゃないかと。いろいろビラとか集めたり、情報を集めたり、数字を集めたりして公正取引委員会の方に出しても、私もそれにちょっとかかわりましたが、なかなか対応してくれないと。

 別に、その結果は、それはまあいろいろあると思うんですよ。皆さんが最終的に判断されることだと思います。しかし、聞いてみると、調査をされている方、その不当廉売の調査、私の場合京都なんですけれども、京都だけじゃなくて近畿地方全体でこの不当廉売の調査をしている人員が四名しかいない。これはとても、どう頑張っても、不当廉売が行われているかどうかとか、そういったことは恐らく不可能だと思うんですよ。

 ですから、そういった意味で、法改正をするしないの問題ももちろんありますが、やはりこの体制の問題というものを、より拡充していかないと、とてもとても法律の趣旨を実行することはできないんじゃないかというふうに思いますので、その点について最後に伺いたいと思います。

○竹島政府特別補佐人 酒屋さんにかかわる不当廉売というのは非常に多いわけです。ガソリンの場合も多いんですが。

 我々としては、相当の数、不当廉売ですよ、やめなさいということの注意や警告をもうしておりまして、特に影響の大きいものはもう排除措置命令も出しているということで、近畿でもガソリン販売業者に法的措置を講じたことがあります。

 ちょっと統計を申し上げますと、酒類の不当廉売の注意件数というのは五百件ぐらいございまして、平成十五年が五百七件、十六年度が四百八十五件、十七年度が三百九十七件、十八年度、まだ終わってませんが、四月から十二月までで四百四十四件やっております。したがいまして、数は、マンパワーの問題は確かに御指摘のようにあるんですが、結構な数やっておるということでございます。

 これからも、こういう厳しい定員事情でございますので限度がございますけれども、着実に体制整備に取り組んでいきたいと思っております。

○北神委員 ありがとうございました。以上でございます。

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