活動報告(地元活動)

学生時代に能楽にのめり込みました。

烏丸今出川を少し上がったところの河村能楽堂で、

今は亡き河村晴夫先生のもとで稽古をしました。

まるで決闘が展開されているような張り詰めた空間と悠久の時間の流れが交わる。

きらびやかな衣装をまとったシテが過去の挫折の中から深い執念とともによみがえり、

雄叫びのような掛け声をかけながら囃し立てる囃子の音楽と、

追い立てるような地謡の声楽にあわせて、舞を舞う。

室町の貴族の雅と戦国武将の武によって育まれたすごい芸術だと思いました。

大好きな鴎外の全集の一巻に「能について」という目次を発見したときには、

胸躍らせながら頁を急いでめくりました。

ところが、たったの一行しかないのです。

「能は極端まで様式化したる人間の行為である。」

さすが軍人であり、科学者でもある文豪の評価だなあ、と感心しました。

簡潔で正確無比な表現ですね。

※ブックカバーチャレンジ:フェイスブックで始まったリレーチャレンジ。「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」

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七日間ブックカバーチャレンジの第三弾です。

「つゆのあとさき」

永井荷風の短編です。

坂口安吾はこの作家を懐古趣味の通俗作家と批判し、これはこれで一理ありますが、

文章があまりにも上手いのでこうした批判も吹っ飛びます。

近代文学では、一番文章が好きなのは森鴎外、その次に永井荷風です。

※ブックカバーチャレンジ:フェイスブックで始まったリレーチャレンジ。「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」

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今は亡き上田正昭先生の古代史の講義は、笑いあり、発見あり、の人気あるものでした。

15年ぶりにお会いしたのは、曽我部のご自宅でした。

その後何度かご指導いただきました。

最後となってしまった面会のときに「日本人のこころ」という書き下ろしの著書を賜りました。

手渡しの際「今回は正面切ったんや」と常になく興奮した面持ちでした。

多くの日本文化論は自己礼賛で終わりますが、先生の論は、一級の学問の裏付けの上に、

日本に対する愛情をもちながら「自信と過信とは異なります」と、

後者を制しながら前者を育みます。

「先憂後楽」という言葉は、我々の弱点を暴いている気がしてなりません。

※ブックカバーチャレンジ:フェイスブックで始まったリレーチャレンジ。「読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する」

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