各種選挙や、ユーチューブの準備・撮影などに忙殺され、久しぶりにブログを書く。10月1日に消費税が10%に引上げられたので、自然と増税の話になってしまう。

皆様もご存知のとおり、消費税10%への引き上げは過去2回、いずれも経済的な理由で延期された。しかし、その理屈でいえば、昨年のブログにも書いたように、今は過去2回延期したときよりも経済的に不透明感が漂っていて、本当は今回こそ延期をすべきだった。

最初に安倍総理が増税を延期したのは、今から5年前の2014年11月だった。確かにこの時は、消費税率が同年4月に8%に引上げられたので、当然、経済統計の数字も悪かったのは事実。しかし、実際に10%への増税が予定されていたのは、延期を発表した1年後の2015年10月のこと。いくらなんでも増税直後の数字が悪いからといって増税予定の1年前に増税延期を決定するのは、判断が早すぎるといわざるを得ない。現実に、その後の経済はそれなりに順調に推移していったのだ(2016年実質GDPはプラス1.0%)。

次に延期したのは、今から3年前の2016年6月。この時の直近の統計は、実質GDPが1.7%も伸びていた。それでも総理は「原油価格・商品市況が暴落している状況がリーマンショックに似ている」という理由で延期に踏み切った。しかし、この「原油価格・商品市況が暴落している」のは、当時、米国でシェールガスが発掘されたことや、ドル高騰によることが大きく、景気そのものには直接関係なかったのである。

では、今回の経済状況はどうか。

昨年末から警鐘を鳴らしているとおり、昨年から欧州、中国の経済が減速している。頼みの綱の米国も、今や利下げにより景気の延命措置に汲々としているのである。私が勝手に言っているのでなく、世界の専門家からも金融恐慌の可能性すら云々されている。

何よりも心配なのは、消費増税で一番打撃を受ける中小企業や個人事業者だ。これらの大半は「働き方改革」によってこれから想像以上に厳しい局面を迎える。長時間労働の抑制、「同一労働同一賃金」などは労働者にとっては当然の措置である。しかし、政策の良し悪しとは別に、中小企業の大半にとって相当な負担になることに間違いない。労働条件が改善しても、職場が倒産で消えたら元も子もない。

こうしたことから、世界経済が悪化する中で、中小企業は不景気・働き方改革・増税の「三重苦」を背負っていくことになるだろう。

つまり、現在の景気状況は、過去の増税延期判断の時に比べて、少なくとも同じくらい不透明であり、これまでと同じ理屈でいけば今回の増税は延期すべきだった。

ただ私自身は、2回目の増税延期の時点で、おそらく総理はもう延期しないだろうと踏んでいて、そのように選挙でも訴えた。というのも、延期時に安倍内閣は消費税増税法を改正して、なんと「景気条項」をまるまる削除したからである。「景気条項」というのは、「景気が悪ければ増税はしなくてもいい」という至極当然の法律規定だ。逆に、この規定を削除することは、もはや「景気に配慮せず増税をしても良い」と解釈するのが普通だからだ。

なぜこのような不思議な改正をしたのか。

おそらくは、財務省や与党内の一部の議員の増税派を説得するためだろう。増税派は、安倍総理が2回も増税延期したので「2度あることは3度ある」と疑心暗鬼になり、総理がそれらを払拭し説得するためには、「景気がどうあれ、次回は必ず増税するので安心しろ。その証拠に消費税増税法から“景気条項”を削る」と手形を切らざるを得なかったのではないか。

いずれにせよ、消費税増税法から「景気条項」が消した時点で、安倍総理は自ら退路を断ち、今回の誠にタイミングの悪い増税がほぼ確定したのである。